2010年にファイナルを迎えた大会「にちなんおろち全国大会」の完走記です。私が走った100kmの中でも最高に楽しかった大会です。
第10回にちなんおろち全国大会 完走記
平成22年6月27日 5時スタート 制限時間14時間30分
鳥取県日南町・総合文化センタースタートゴール
「天体界道100km・にちなんおろち全国大会」に参加してきました。以前から参加をしてみたいと思っていた大会でしたが、今回がファイナル大会で最後になるということで走ってきました。この大会の特徴は①中国山地の大自然の中を走る②山なので起伏が激しく日本最大級の過酷なコース③日南町全体で作っているローカルな大会ということで、とてもワクワクしながら参加しました。場所は鳥取県の米子駅から伯備線というローカル線で1時間半ほど山奥に入った日南町で、広島県、岡山県に接する中国山地の真ん中に位置する、すごく田舎の町です。そんな日南町をぐるりと1周して100kmを走ります。参加者500人を受け入れる宿泊施設も無く、主催者から割り振られた影井さんという家に民泊をすることになりました。駅に到着すると影井さんが迎えに来てくれていて車に乗りお宅に向かいました。先に到着していた飯島さん(北海道)と2人で一晩お世話になります。晩御飯を頂きながら3人で前祝の祝杯を挙げ、話しが盛り上がりました。話しは尽きませんでしたが、明日は朝が早いので10時頃に就寝しました。
大会当日、2時半に起床したら外は雨が降っていました。朝御飯を頂いて、走る準備をして会場まで車で送ってもらいました。会場には共に100kmを走るランナーが集まっていましたが、500人ほどなので、さほど混んでいる様子もなく文化センターのホールでスタートを待ちました。スタート時間の5時が近づいてきたので外に出たら小雨でした。結局、お天気は一日、降ったりやんだりでしたが、カンカン照りで暑くなるよりは走りやすいコンディションでした。そして5時に一斉にスタートしました。
スタートしてすぐに緩やかな上りが始まりました。今回のコースは起伏が激しく平なところはほとんど無いと聞いていたので、その起伏をいかに攻略するかが完走のポイントになります。そこで考えた攻略法は「ゆっくり上って、気持ちよく下る」という作戦です。簡単に言えば、上りは歩くということです。とはいえ上りを全て歩いていては、制限時間に間に合わないので、ゆるい上りはできるだけ走りました。スタートして15km位までは、ずぅーと緩やかに上っていきます。まだ、スタートしたばかりなので、みんな元気なので走っていきます。その後も上って下ってを繰り返しながら進んでいきます。エイドは約2・5kmごとにあり、水、スポーツドリンク、コーラなどの飲み物とバナナ、オレンジ、梅干、おしんこなど食べ物が用意されていて心配はありません。また、5kmごとの給食エイドにはオニギリがあったり、そうめんがあったり、パンがあったりしてお腹が空く心配もありません。また、エイドでは地元の人の大歓迎を受けます。特に今回が最後の大会になるということで、地元の皆さんも気合が入っているようでした。山の中を走っているときには、大自然に囲まれながら走り、集落では町の皆さんの応援を受けながら、本当に気持ち良く走っていきました。町の人たちの応援は、私が今まで出た大会の中でも一番で、子供からおばあちゃんまでみんな外に出て待っていてくれます。話を聞けば、町中のすべての家に、ゼッケンと参加者の名前が書いてある選手名簿が配られているようで、みんなそれを見ながら名前を呼んで応援をしてくれます。その応援に手を振って応えながら走りました。
34kmのエイドから先は熊の出る山の中を走るので「熊よけ鈴」を着用します。エイドで待っている小学生がランナーに熊よけ鈴を手渡ししてくれます。鈴には小学生のメッセージが付いていて、それを読みながら山奥に続くコースを進みます。この先は上りも本格的になり、積極的に歩き、景色を楽しみながら山の奥へ奥へと進みます。山道の途中にはダンボールに書かれた応援メッセージや川柳などが所々にあって、上りできつい気分を紛らわしてくれます。50km手前でやっと標高800m位まで上りきり、標高400m位の63kmの大エイドまで一気に下ります。ずぅーと歩いていたので、下りでは思いっきり走って、1km5分位のペースで気分良く下ってきました。せっかく上った山をアッという間に下り63km地点の大きなエイドに到着しました。下りを飛ばしたせいか予定よりもだいぶ早く到着しました。とりあえず腹ごしらえということで、ダンゴ汁とおにぎりを頂きました。それ以外にもフルーツやお餅やおしんこなど食べてしっかりと腹ごしらえをしました。スタート地点で預けておいた荷物を受け取り、汗と雨でグショグショになった顔を洗って、再び走り始めます。
走り始めてすぐにコース最大の上りが始まります。63km地点、標高400m位からコース最高点の70km地点、標高900mまで上ります。必死に走って上っているランナーがいるなか、私は作戦どおり元気に歩きながら上っていきました。雨が強くなってきて、山の上から水が流れてきましたが、すでにシューズはグショグショなので気にせず進みました。最大の難所といわれて覚悟をして上っていましたが、気が付けば頂上まで上りきっていました。「萩往還の千畳敷(120km地点)の上りの方がきつかったなぁ~」なんて思いながら、最大の上りもなんなく上り切って、ここからは、また下りになります。周りのランナーは、すでに脚にダメージを受けているようで、恐る恐る下っているなか、私はまだまだ脚には余裕があったので、勢い良く走って、一気に下って行きました。集落まで下ってくる間のひと気の無い山の中では、数メートル置きに係の人が配置されていて、ランナーが通るたびに声をかけてくれて、とても励みになりました。80km手前まで下り集落に入ると、今度は町の人たちが応援をしてくれます。本当に、この大会は町中の人が応援をしてくれていて、歓迎してくれていることを実感しながら走りました。
80km過ぎのエイドでは、ビールを飲みながら応援をしてくれているオヤジさん達がいたので、声をかけてビールをひと口頂きました。その後も上りは歩き、下りは走ってを繰り返しながら順調に進みました。残り3kmの看板を通過した先に、急勾配の上り坂がありました。距離は短いですが傾斜はコースの中でも一番で、本当に最後まで楽をさせてくれないコースだと思いました。余裕の無いランナーにとっては、きっと地獄の上り坂に感じることでしょう。そんな下を向きながら歩いているランナーを横目に、私は元気に歩いて上りました。そして、なんなく上りきって、最後は急坂を下り、ゴール地点の総合文化センターが見えてきました。走っている間も多くの声援を受けましたが、ゴール前の声援はそれを上回るくらいの大声援でした。総合文化センターの敷地内に入り、場内放送の「神奈川のタツミさん、ゴールです!」の声に迎えられ、ゴールテープを切って100kmをゴールしました。タイムは11時間39分25秒と厳しいコースのわりにいいタイムで、予定よりもかなり早く走りきれました。
ゴールすると、大きなバスタオルと完走メダルをかけてくれました。記録証をもらい、すぐ横のテントでトン汁、そうめん、トマトを頂き、ゴール後の腹ごしらえをしました。同宿の飯島さんもちょっと前にゴールしたようで、いっしょに食事をしながら、お互いに健闘を称え合いました。
走る前にすごく厳しいコースと聞いていたので覚悟をして望んだ100kmですが、思いのほか元気に走れ、最後まで楽しみながら気分良く走れました。沿道の応援は本当に町中の人が出てきてくれているのではないかと思うくらい、たくさんの声援を受けました。参加賞もTシャツ、バスタオル、トマトジュース、干ししいたけ、炭など町の名産品をたくさん頂きました。日南町の人の情熱と中国山地の大自然を満喫できた100kmでした。残念ながら今年で最後の大会になってしまうようですが、1度でも走ることができて、とても良かったと思います。
《ラップタイム》
5km | 33・25 | 55km | 6:21・36 | (43・13) | |
10km | 1:04・13 | (30・47) | 60km | 6:47・13 | (25・36) |
15km | 1:35・04 | (30・51) | 65km | 7:33・03 | (45・50) |
20km | 2:05・55 | (30・50) | 70km | 8:21・17 | (48・14) |
25km | 2:38・49 | (32・54) | 75km | 8:47・21 | (26・03) |
30km | 3:10・01 | (31・12) | 80km | 9:18・33 | (31・11) |
35km | 3:44・32 | (34・31) | 85km | 9:54・25 | (35・52) |
40km | 4:22・16 | (37・43) | 90km | 10:33・26 | (39・00) |
45km | 4:54・23 | (32・07) | 95km | 11:05・11 | (31・45) |
50km | 5:38・22 | (43・59) | 100km | 11:39・25 | (34・13) |