第19回サロマ湖ウルトラマラソン完走記
人生初の100kmウルトラマラソンへのチャレンジ!ここから私のウルトラランナー人生が始まる。
2004年6月27日(日)に行なわれた、サロマ湖100kmウルトラマラソンの報告です。
~出発まで~
今年の正月のこと。今年の目標を「100kmウルトラマラソンを完走する」と決め ました。以前から40歳までにはやりたいと思っていたので、37歳の今年、チャレ ンジすることにしました。そして100kmマラソンについていろいろと調べて、6月末 のサロマ湖でチャレンジすることに決めました。制限時間などを考えれば、他の 大会の方が楽なのですが、チャレンジするなら、100kmマラソン最高峰のサロマ湖 でチャレンジしようと考えました。それから6月27日のゴールに向けて日々トレー ニングをしました。月300kmを目標にトレーニングをして、4月には350km近く 走りました。体重も正月に比べて5kgほど落ちて体もだいぶ絞れました。そして 6月25日にサロマ湖に向けて出発しました。
~スタートまで~
6月25日午前中に羽田を経ち、昼過ぎに北海道の女満別空港に着きました。横浜に 比べて涼しく感じましたが、思っていたよりは暑かったです。そこからバスに乗って 選手受付であり、スタート地点である、湧別町総合体育館に向かいました。受付をして ゼッケンやプログラムをもらいました。そこからは歩いて約2分、宿泊先の「林業研修 センター」に到着しました。たいがいの人は前日に来るようで、この日の宿泊者は7人 でした。みんな常連の方ばかりで、いろいろとアドバイスをいただきました。初出場の 私にすれば、この方々のアドバイスがどれだけ大きかったかは、完走して気付きました。 実際、アドバイス がなければ完走できなかったと感じてます。とてもいい方々に会えた と感謝してます。土曜日は大会に備えて準備をしたりしてのんびり過ごしました。そして 9時過ぎに就寝。当日は5時スタートなの で朝2時に起床、食事をして、準備をして、 いざスタート地点へ。思ったほど寒くなく、暑い一日になることが予測されました。55km 地点のエイドステーション行きの荷物とゴール地点行きの荷物を預けてスタート地点の 後ろの方に並びました。そして5時の号砲と共にスタートしました。
~レース前半(スタート~55km)~
スタートして1km7分ペースで走りました。当初、1km6分ペースで走る予定でしたが、 アドバイスを受けて7分ペースにしました。だけど私にすれば7分ペースはかなり遅い。 周りにどんどん前に行くし、体はぜんぜん余裕だし、このペースで走るにはかなりの 忍耐力がいりました。だけど速く走ることより完走をすることが大事なんで、行きたい 気持ちを抑えてガマンの走りでした。17kmで一回折返しがあり、先をいくランナーたちと すれ違います。宿舎の仲間は、みんな私より先を走ってました。25kmから35kmあたり は長い直線が続き、はるか先まで見える場所で、走っても走っても全然進んでいる気が しませんでした。この辺で、すでに気温が上がってきていて、水分補給が不可欠になって きました。エイドのたびに給水をして、頭や首の後ろに水をかけながら走りました。35km 過ぎからは国道を走ります。脚はまだ余裕がありましたが、暑さで体力的にはきつく なってきました。エネルギー切れにならないように給食もしっかりしてましたが、水分を たくさん取っているうちに胃がやられてきました。食べれなきゃ完走はできないというのは 分かっていたので、なんとか食べて走りつづけました。しばらく走るとフルマラソン地点 (42・195km)を5時間を切るくらいで通過しました。普段ならここがゴールなのに、 みんな何事もなく通過していく・・・まさにウルトラマラソンだと実感しました。そして半分の 50km地点。5時間51分、しっかり7分ペースをキープして走れてました。だけど、この辺 までくると脚も痛くなってきてダメージを感じてきました。ゴールを目指すと先が長すぎる ので、次のエイドを目指して一つずつ進むようにしました。そして、はるか先に55kmエイド の緑館が見えてきました。とは言ってもまだ2kmくらいはあったのかな。やっと55km エイドに着きました。
~レース中盤(55km~80km)~
55kmエイドは大きなエイドでスタート地点で預けて荷物があるところです。エイド入って 自分の荷物をもらいました。給食を取らないと後半エネルギーが切れてしますので、胃が やられていたけど無理やり食べました。オニギリ2個、バナナ2本、ウイダーインゼリー、 梅干(私は梅干は嫌いで普段は食べないのですが、このレース中には20個位は食べた と思います。)を食べて、ストレッチをして、トイレを済ませて走り始めました。本来、着替え をしたり休憩をしたりするエイドなんですが、当然休んでいる時間も時計は進んでいる わけで、時間的余裕がない私はゆっくり休んでいる場合ではありませんでした。この先は 10kmごとに関門があります。ウルトラマラソンの後半は関門との戦いだということは 聞いていたので、今ある貯金をなるべく残していくことを優先しました。すでに脚のダメージ もきていたので、7分ペースを維持することが難しくなることは目に見えてました。60km 関門閉鎖時間は7時間35分、15分前の7時間20分に通過できました。だけど完全に ペースダウンしていました。半分を超したと言え、まだフルマラソン以上の距離を残している かと思うと、ゴールは全然見こないし、精神的に一番きつい頃でした。そのうえお昼になり 気温はさらに上がり30度くらいになってました。そうは言っても走らなきゃ終わらないと 思い走り続けました。70km関門閉鎖時間は8時間45分、11分前の8時間34分で通過 できました。貯金はどんどん減っていくし、脚のダメージは大きくなっていくし、次の80kmの 関門が勝負だと思いました。実際70km~80kmの10kmは1時間15分しか時間がなく、 今のペースを維持できれば通過できるけど、脚の状態を考えるとつらいものがありました。 ただ80km関門を通過すれば、その先の80km~90km、90km~ゴールの10kmは 1時間30分ずつの時間があるので、なんとか行ける思ってましたので多少の無理は承知で、 この間はもくもくと走りました。ウルトラを完走するためには、歩かずにいかに走り続ける かということを実感してました。75kmエイドにお汁粉があったのですが、余裕がなく味わう こともできずに、ひたすら80km関門を目指して走りました。80km関門は国道を左折した ところにあるのですが、その国道を真っ直ぐ進むとゴールまで2km。ようは80km関門から ワッカ原生花園の中を9km行き、折返して9km戻ってきて、再び国道に出てゴールを 目指すのです。そして80km関門閉鎖時間の10時間の4分前の9時間56分で通過でき ました。
~レース後半(80km~ゴール)~
なんとか80km関門を通過したけど、すでに脚のダメージは耐えれない状態になりつつ あり、さらに胃がやられたせいで食べ物をあまり取らなかったこともあり、状況としては かなりヤバイ状況でした。人間、オナカが空くと気力がなくなると聞いていたのですが、 まさにその状況になりつつありました。しかしあと20km。時間的には多少は余裕がある ので、止まってストレッチをしたりして、なんとか前に進みました。85kmエイドでバナナや スイカを食べて、エネルギー補給をして、なんとか気力を取り戻しながら進みました。折返し てくるランナーが、すれ違うときに「あきらめるな!」「もうちょっと!」と声をかけながら通過 していきます。そしてやっと折返して、90km関門までたどりつきました。関門閉鎖時間 11時間30分を9分前の11時間21分で通過。あと10km。普段なら10kmなんか軽く 走るのですが、この10kmは果てしなく長い。時計を見ながらストレッチしたり、歩いたり、 そしてまた走ったりしながらゴールを目指す。周りのランナーもみんなギリギリの状況なのは お互いに分かっていて、みんな声をかけてお互いに励ましながら共にゴールを目指す。 1kmごとの距離表示を一つずつ通過していき、先ほど通過して80km関門のところまで 戻ってきました。ここまでくればあと2km。最後のエイドの高校生達の声援に後押しされて、 国道を走りゴールを目指す。この時点で残り30分弱。ここからなら歩いてでも間に合う。 初めて完走できる事を確信しました。ここまでくると速く走ろうなんて気は起きない。余韻に 浸るかの思いで、ゆっくりとゴールを目指して走る。ゴールが近づくにつれて沿道の声援が 増えてくる。みんな「間に合うよ~」と声をかけてくれる。そして最後のカーブを右折すると 200m先にゴールが見えました。そしてついにゴール。12時間53分48秒。制限時間 13時間まで6分12秒残して完走できました。
~ゴール後~
ゴール後、完走メダルを首からかけてもらいました。たかがメダルだけど、100kmを走った 証しだと思うとすごく重く、目頭が熱くなりました。そしてタオルと水をもらい、そのまま芝生の 上に座り込みました。ボランティアの高校生がアイスィングの氷を持ってきてくれたので、 それをモモの上に乗せて、しばらく放心状態になってました。ゴールでは13時間のカウント ダウンが始まり、ついに全レースが終了しました。周りには私と同じくギリギリでゴールした 人が座り込んでました。お互いに健闘を称えあっているうちに、感極まって涙が出てきました。 すぐ横の町民センターでは完走パーティーが始まりましたが、それに出る元気はなく、 もらった食券でウドンをもらい、外の階段に座り食べてました。温かいウドンは胃にやさしく、 ホントおいしかったです。その後バスに乗り、宿舎まで戻ってきました。宿舎に着いたら、 先にゴールした人、リタイヤして帰ってきた人、みんなが向かえてくれました。そして私の初完走 を自分のことのように喜んでくれ、生ビールで祝ってくれました。オナカは空いているはずなんだ けど、あまり食欲はわかず、風呂に入って、アッという間に寝ちゃいました。
~振り返って~
感想としては、きつかったの一言。予想はしていたけれど、はやりそれ以上にきついものが ありました。1月からやってきたトレーニング、完走するぞという強い気持ち、同じ宿舎の仲間、 それらがあって完走できたことはすごく満足してます。100km先のゴールに何があるかも、 完走したことでわかりました。今のところは、もう2度と走りたくないと思っているけれど、どう なることやら・・・。また、しばらくしたら次なるチャレンジをしたいと思っています。